ファッションの歴史の続き。今回は1970年代ですが、前回変なところで区切ってしまったので、講座の対象はちょっと短めですが、単語の森に分け入っていたらブログは長くなってしまいました。
Les manifestations estudiantines aboutiront à l’émancipation de la femme qui est enfin autorisée à user de la contraception et de l’interruption volontaire de grossesse.
ここの les manifestation は68年5月騒乱のことです。
フランス語としては、まず「aboutir à N = ~に達する、(ある結果)に至る」の使い方。A aboutit à B で「Aという原因の結果、Bとなる」という表現に使うそうです。
例 Une telle philosophie aboutit au désespoir.
「このような哲学は絶望へと至る」
例 Les négociations n’ont abouti à rien.
「交渉はなんの成果ももたらさなかった」
何だか例文が暗いですが。。。名詞形は aboutissement です。aboutissement logique(当然の結果) とかいうように使います。
次に、「~を使う」という意味の user de N の使い方。「~を使う」というと、utiliser とか se servir de とかが思いつきますが、これらは具体的な物を使うときに使って、抽象的なことを使うときには user de を用いる、という使い分けがあるそうです。
例 user de ruse = 「策略を用いる」
なお、辞書によると具体的な物を使うときでも、単語によってニュアンスの違いがあるそうで。。。(以下、プチロワイヤルから抜粋)
◆se servir de
ものを道具・手段・材料として使うことを言い,employer, utiliserと交換可能な場合も多い。
例 se servir des baguettes pour manger
「食べるのに箸(はし)を使う」
◆employer
ものを何かの用途に当てるというニュアンスがある.このためse servir deが使える名詞以外に,お金・時間などを目的語とすることができる。
例 employer tout son argent a l’achat d’une voiture
「車の購入に手持ちの金を全部使う」
例 employer tout l’apres-midi a nettoyer sa chambre
「部屋の掃除に午後一杯使う」
◆utiliser
ものを活用・利用するというニュアンスがあり,交通機関・場所・部屋などにはutiliserしか使えない。
例 utiliser l’autobus
「バスを利用する」
例 Je peux utiliser cette salle?
「この部屋を使っていいですか」
なんだか難しそうですが、直感的には、
○自分が直接そのものを道具として使う場合には、se servir de
○何かほかのことをするために供する場合(特に、時間とかお金)には、employer
○(直接そのもの自体を使うのではなく)利用する場合には、utiliser
という 感じでしょうかね。
結局、いろいろな例文を覚えないと正しく使えるようにはならなさそうな気がします。
更にややこしいことに、user は直接目的語をとることもあって、その場合は意味が変わります。
user N = ~をすり減らす、消耗させる、使いつくす
例 La production de l’alminium use beaucoup d’électricité. = アルミの生産は多大な電力を消費する (=consommer )
何かを使うのにも、フランス語は大変ですね。。。
最後に、妊娠関連の単語の復習。シモーネ・ヴェイユさんが亡くなった時の記事(→こちら)でも勉強しました。名詞の「妊娠」はgrosesse だけれど、形容詞の「妊娠している」は enceinte なことに注意です(grosse という形容詞もあるみたいですが、辞書には思い切り「古風」となってました)。
「避妊」contraception
「中絶」avortement = interruption volontaire de grossesse
「妊娠」conception ; grossesse
「妊娠している」enceinte ; grosse(古風・現用はenceinte)
なお、interruption volontaire de grossesse は、シモーネさんの記事によれば、IVGと略すようです。
ということで、この文章の訳としては、若干 aboutir à のところを意訳して、「学生たちによるデモの結果、女性たちは解放され、ついに、避妊と中絶を認められるようになる。」 という感じですね。